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 僕が鳥居を抜けて神社に入ると、周りの空気が張り詰めた。
 まるで、僕が入ってはいけないかのように。
 まるで、『今の僕』が拒絶されるかのように。
「どうしようかな・・・」
 別段、ここに理由があって来たのではないから、このまま引き返そうがまったく問題ない。
 それに、この感じは・・・。なんか、嫌だ。
「君がここに来るとは珍しいね」
 声のする方を見ると、あの人形と戦ったときの女性がそこにいた。
「いや、実際にここに来るのは初めてなんだから、『珍しい』という表現は微妙におかしいのかな?」
 彼女は笑みを浮かべながら、話す。
「すまないね。人と話す機会なんてないから、よく言葉を間違えてしまうのだよ」
 彼女は僕の意思も無視して話し続ける。
 ・・・この人は人の話を聞く気がないのだろうか?
「それで、ここに来た理由は?」
「・・・特にありませんよ」
 しかし、彼女はそんなことはないと言わんばかりに続ける。
「嘘だな。君は何か疑問があるからここに来た」
「・・・疑問があるとすれば、あなたの態度と浴衣くらいですよ」
 この言葉に対して、多少、怒ったように顔が歪む。
「君はあれか?メイド服だとかゴスロリが好きなのか?そういう人種なのか?」
 なんで浴衣を着てることに疑問を持ったくらいでここまで言われてるんだろう・・・? 
「何で、そんなに浴衣が好きなんですか?」
「当然だ」
 どうやら、この人は浴衣が大好きなようだ。
 ・・・どうでもいいことだなぁ。
「それで、他に聞きたいことは?」
 あくまで、僕に質問させようとする女性。
「・・・あなたの名前は?」
 その質問に多少驚いたらしく、ビックリしたというポーズを取る。
「おや?私は君に名乗っていなかったのか」
 彼女は一呼吸おいて、名乗った。
「私の名は大榊潤。覚えておいて損はない筈だ」
 彼女はシニカルに微笑んでいた。
 その姿はどことなくカッコよかった。
「もう時間のようだ」
「・・・え?」
 僕がその言葉を理解する前に、風が吹く。
 そして、僕の前には神社ではなく、コンビニがあった。
「・・・前と同じ、か」
 だけど、僕の頭の中は風が吹く直前の言葉でいっぱいだった。

「1ヶ月以内に、君の親しい人が死ぬだろう」

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