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魔法学園小説 ―1話―   

 桜並木を目新しい学生服に身を包んだ少年少女がそれぞれ、2,3人で肩を並べながら歩いている。
 その顔は新しい生活に若干の緊張と大きな期待があることが見て取れた。
 ただし、1人の少年を除いて。
「眠い……」
 少年はそう呟くと、大きく欠伸をした。
 その姿にはとても周りの生徒と同じ新入生だとは思えない雰囲気があった。
「相変わらず、貴方はマイナスオーラ全快ねぇ」
 突然にかけられた声に驚くこともなく、少年は気怠そうに振り返った。
 そこに居たのは尊大な態度を隠すどころか堂々と見せつける金色の縦ロールの少女だった。
rire-syousetu
「アンタこそ、相変わらず態度がでかいな」
 少年がそう言うと、少女は不敵な笑みを浮かべながらこう言った。
「何度も言うけれど、これは思い上がりではなく自他共々に認める私と貴方の違いを考慮した上での正当な自信よ」
「何度も言うけど、そういうのが態度がでかいって言うんだけどな」
 二人を知る者にとっては相変わらずな、知らない者にとっては仲がいいのか悪いのか判断しかねるやり取りだった。
「ところで、貴方は明日の自己紹介はどうするつもり?」
 少女はいつもの社交辞令のような益体のない話をやめ、多少は気になっていたことを聞いた。
「どうするつもり・・・っていうと?」
「逃げるのか隠れるのかすると思っていたのだけど?」
「おいおい、俺がそんなことをすると思ってるのか」
 少年はさも心外だと言わんばかりに肩をすくめる。
「え、出るつもりなの?」
 そんな少年の態度が予想外たっだのか少女は驚きの声をあげる。
 少女の言動に少年は沈黙し、少女もそれに倣う。
「……いや、別に絶対に魔法を使わなくちゃいけないだなんて規則があるわけじゃあるまいし」
 少女の自分に対する認識に若干の不安を覚えながら少年は言った。
「でも、どっちにしても貴方が嬉々として参加してる姿が浮かばないんだけど」
「そりゃあ、嫌々ながら参加するからな」
 少年はそう言うと、溜息を吐いた。
 冗談でも比喩でもなく本気で嫌そうだった。
「そうそう、貴方は嫌なことから常に逃げてそうじゃない」
 少女は少年を指差しながら言った。
 特に重い雰囲気を出すわけでもなく平然と。
「……お前は今まで俺の何を見てきたんだ?」
「ヘタレなところ」
 即答な上に容赦なしだった。
 あまりに即座にそう言われたために少年は一瞬、素で固まってしまった。
「……いや、何か他にもあるだろう」
「今にも自殺しそうなところ?」
 今度も即答で容赦がなかった。
「……いや、俺はそんな風に見えるのか?」
 少年は一度、自分がどんな印象なのかを確認した方がいいという判断の元、質問してみた。
「えぇ、常日頃から死にたいオーラをガンガン発してるじゃない」
 何を今更と言わんばかりに少女は笑顔で言った。
 少年はそんな少女を見るのが辛くなり、空を少しだけ見た後、周りを見る。
 一瞬だけ思考した後で腕に嵌めている腕時計を見る。
「ところで、そろそろ急がないといい加減に遅刻するな。これ」
 と、少年のその言葉に少女はピクリと反応する。
 少女も周りを見てから鞄から携帯を取り出して時間を確認する。
「……そういうことは早く言ってくれない?」
「え、俺がこれって悪いの?」
 少年は少女の理不尽な反応に戸惑った。
「何を言ってるの貴方は」
 どう控え目に見ても、悪いのはお互い様であるにも関わらずこの少女は尊大な態度だった。
 少年はどう育ったらここまで不遜な態度を持てるのかと思う。
 思うだけで口には出さないが。
「ごめんなさい」
 気が付けば、少年は謝っていた。
 少女の態度を見ていたらなんとなく、自分が悪いような気がしてきたからだ。
「そうそう、やっぱり悪いことをしたら謝る精神が大切よね」
 その態度を見て、少女は頷きながら言った。
 少年はやはりおかしいとは思ったが、言っても無駄なのは分かってるので言わないことにした。
「じゃあ、私は先に行ってるからね」
 少女はそれだけ言うと、思いっきり跳躍する。
 そのまま、少女の身体は家一軒を軽々と飛び越えるほどの飛翔をし、そのまま真っ直ぐに進んでいった。
「何であいつは無詠唱であんなに能力を出せ……白か」
 飛んでいく少女を見送りながら、少年は今見えたものを思い出し、呟く。
 もし、これが少女にバレたら何らかの手段で危害が加えられていただろう。
「……ていうか、俺も急がねぇと駄目だろ」
 ふと、自分の置かれた状況を思い出して全力で走り出した。
 これから起きる事も知らないままに……。
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