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魔法学園小説 ―8話―

 詠唱が続く中、シロはその揺らぎに気付いた。
 目の錯覚?強い魔法力場による光の屈折?あの男の魔法?
 ベリアルの手が水蒸気にでも包まれてるかのように揺らいでいる、コガネは……それに気付いていない!
「あぶ……っ」
 シロが"それ"に危険を感じて叫んだのと、
 コガネが何かに反応しルリを抱えて飛んだのと、
 ベリアルが目に見えないそれを投げ飛ばしたのはほぼ同時だった。



 不本意ながら彼女はその時一人で職員室に残っていた。
 いつもならば他にも誰かしら人がいる、そうであれば面倒事はそいつに押し付けられる。
 大多数の生徒ならば何をせずとも彼女に関わるのを避けようとする。残りの少数の生徒が来たのであれば眼力に一言加えれば追い返せる自信がある。
 しかし、その時職員室の戸を開けたのは彼女に面倒見の良い教師という幻想を抱く極少数の変わり者だった。
「先生!助けてください!一大事なのにクロちゃ…生徒会長はどこか行っちゃうし他の生徒会のみんなも散り散りだしクロちゃんはどこか行っちゃうし、危険で危なくてやばいんですっ!」
 訂正。この学園に入学できたのが不思議なほど頭の弱い娘だった。
 一直線に彼女の元に駆け寄ってきた少女は手を振り回しつつしゃべり続ける。
「クロちゃんが「この二人に罰代わりに仕事を手伝わせます。」っていうからその監視をしてたんですけど、鍛錬場に行ったら怖い人がいて、監視してたら戦闘になっちゃって、監視してたらもっと怖い人がでてきてルリちゃんは止めにいっちゃうし、怖いし他のみんなとは連絡が取れないし……」
「だまらっしゃい」
 頼んでもいないのに説明とも愚痴とも付かないいつまでも続きそうなマシンガントークに彼女、ミス=ヒステリアと呼ばれる女性は額に青筋を立てつつ言い放った。
 瞬間、少女の声が失われる。口は動いているのに声が出ない。数分の後自分の声が出なくなっていることに少女も気付いた。
 ミス=ヒステリア、そう呼ばれた教師による説教が始まる。



 ドゴッ!!
 後ろで物凄い重量の……鉄球か何かが壁にぶつかったような音が聞こえた。
 シロは振り返ろうとしてやめた。今あの男から目を離すのは……自殺行為だ。
「ふーん、結構度胸あるじゃない。ますます気に入ったわカワイコちゃんっ!」
 ベリアルが今度は腕を上に振り上げる。
 今度は見えた。半透明な揺らいだ球体が空中のコガネ目掛けて飛んでいき…、ぶつかる手前でコガネが進行方向を直角に変え回避した。
 揺らいだ球体はそのまま重力に引かれ重い音を鳴らして地面にめり込んだ。
『なるほど、見えない鉄球か。筋肉達磨らしい無骨な凶器ね。』
 詠唱を中断することなく、魔法の才能が無いものですら受け取れるほど強烈なテレパシーをコガネが飛ばす。
「……ちょこまかと飛び回るだけの蝿がぁ。粋がるんじゃないわよっ!ベノムもまだチャージできないの!?」
「もうすぐ終わるわ。あなたがあのちびを一緒にしなければ毒を変える必要も無かったのだけれどね…」
『お姉さまは蝿じゃなくて蝶ですぅっ!』
 激しい戦闘を繰り広げる割に余裕のある4人。この中で一番焦っているのは自分ではないか?シロが疑心暗鬼に陥ったり落ち込んだりしていく間にも戦闘は続いていく。

 ――――ベリアルがもはや迷彩の完全に消え去った鎖鉄球を振り回し、ルリに抱きつかれたコガネがそれを悠々と回避する。
 ベノムの銃弾の大半をでたらめ且高速で移動し大半を回避、回避しそこなった弾も結界で防がれ毒はルリに中和される。
 攻撃は一方的なのに、場は逆に一方的だった。
 そして、BGMと化していた詠唱が終了した。
「待たせたわね。あなた達程度には勿体無いけど唱えちゃったから使ってあげるわ」
 その時やっとシロは思い出した。本当に恐れるべきは誰だったのかを。

 学園中に爆音が響き渡った
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